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特別講演1 急性呼吸器感染症サーベイランスの実証研究から分かったこと

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 急性呼吸器感染症サーベイランスの実証研究から分かったこと

所属

 国立感染症研究所 感染症疫学センター

演者

 神垣太郎

抄録

 我が国においてインフルエンザは5類感染症の定点把握疾患として全国約5,000ヵ所のインフルエンザ定点である医療機関から患者数が、全国約500ヵ所の基幹定点医療機関から新規入院者数が、週毎に報告されて動向が把握されている。また全国約3,000ヵ所の小児科医定点から同じ5類感染症であるRSウイルス感染症が報告されてきた。またCOVID-19パンデミック後の新型コロナウイルス感染症は、2023年5月よりインフルエンザと同様に5類感染症の定点把握疾患としてインフルエンザ/COVID-19定点である医療機関から報告されて動向が把握されている。
 世界保健機関は、急性呼吸器感染症(Acute respiratory infection)またはインフルエンザ様疾患(Influenza like illness)といった症候群を用いた定点サーベイランスにおけるインフルエンザの検査陽性率を監視することでインフルエンザの動向を把握する重要性について様々なガイダンスで言及しており、実際に諸外国では、ARI/ILIサーベイランスが運用されている。さらに新型コロナウイルス感染症が流行する状況となったために、呼吸器ウイルスに対する “モザイクアプローチ“統合サーベイランス(WHO、2023)やヨーロッパにおける呼吸器ウイルスサーベイランスの実用指針(ECDC, 2022)などのガイダンスが発行されて、複数の呼吸器ウイルスを監視するサーベイランス体制の構築が進められてきた。また我が国においてもARIを5類感染症に追加して、ARIサーベイランスを稼働する議論が続いている。
 2023年に厚生労働科学研究「医療デジタルトランスフォーメーション時代の重層的な感染症サーベイランス体制の整備に向けた研究」の分担研究課題として、国内の自治体および医療機関の協力を得てARIサーベイランスの実証研究を実施した。実証研究では医療機関に設置されているFilmArrayないしSpotfireといった全自動PCR機器を用いた。同実証研究でARIサーベイランスの結果について概説するとともに、サーベイランスの運用に関する知見と課題点を議論する。

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