急性中耳炎は減ってしまった
演題
急性中耳炎は減ってしまった - 老兵は死なず消え去るのみ -
所属
つちだ小児科(福井県坂井市)
演者
土田晋也
抄録
小児科外来において急性中耳炎と遭遇する機会は激減しているようです。当院外来にて耳漏処置をした回数を急性中耳炎の指標として、2005年からの推移を検討してみました。2005年には500回程度あった耳漏処置が、2021年には100回程度と1/5程度に激減しています。激減の原因のひとつは、2013年から定期接種化された肺炎球菌ワクチン、もうひとつは新型コロナ感染症パンデミックのため保育園で厳しい感染防御対策が徹底されていることがあると思います。
今後も急性中耳炎を診断する機会は増えないだろうし、抗生物質を要するケースもさらに減っていくと想像します。小児科医が肝に銘ずるべきは、「いかに診断して治療するか」ではなく「いかに適切に診断し過剰治療を回避するか」でしょう。
老兵は死なず消え去るのみ」なのか。これからの小児科医が取り組むべき方向についても考察してみます。
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