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プライマリケアで行う子どもの便秘治療

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特別講演 演題

 プライマリケアで行う子どもの便秘治療

所属・演者

 とみもと小児科クリニック 冨本和彦

座長

 中村 豊(ゆたかこどもクリニック/神戸市西区)

抄録

 小児期慢性機能性便秘症の病態には、便貯留型、通過遅延型、排便協調運動障害型の三者がある。一般的な病態は便貯留型と考えられるが、三次施設からの論文では通過遅延型が多くを占めるとしたものもある。通過遅延型は内科的治療で基本病態が改善せず治癒は困難である。病態確認のためには腸管通過を評価する必要があるが、プライマリケアでは難しい。一方、便貯留型で直腸が拡大するのに対して、腸管通過遅延型では直腸拡大を伴わないことから、腹部超音波を用いて直腸拡大を評価すれば両者はある程度鑑別しうる。当院経過観察中の123例中102例は過去に直腸拡大が認められており、便貯留型便秘と考えられた。直腸拡大の認められない21例でも通過遅延が確認されたのは1例のみであり、プライマリでは通過遅延型は極めてまれと思われた。
 維持療法の1st choiceは浸透圧下剤であるが、このうちラクチュロースと酸化マグネシウムについて、その有効性を比較検討した。酸化マグネシウムは治療成功例が有意に多く、便性状もより改善していた。
 慢性便秘の治癒に関与する因子の検討では、排便日数(週5日以上)と腹痛が治癒に有意に関連した。罹病期間や直腸拡大は治癒に関連しなかった。トイレットトレーニングも有意な関連はなかったが、実際にはトレーニングで治癒に至った例も経験される。軟便でありながら腹痛を訴える場合は便秘型過敏性腸症の病態を考慮し、治療が長引く可能性も伝える必要がある。

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