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”子どもの成長を支える”という熱い心と行動

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特別講演

 ”子どもの成長を支える”という熱い心と行動

所属・演者

 いとう小児科, 久留米大学医学部小児科非常勤講師 武谷 茂

抄録

 
・できごと:“ 君、ラグビーやってみない? ” 一見して肥満児、反復する腹痛を訴えてきた小学5年生の男の子、サッカー少年の悩みごと相談である.診察後に声をかけたが無反応のようにみえた.そのあと少年は好奇心からか母親に“ ラグビーを見てみたい ”と言いだし、町の少年ラグビーチームに入って動きはじめる.彼の体格からスクラムの前列は最適のポジションで彼自身も気に入っていた.勢いづいたら止まらない.チームは連戦連勝、彼はそのまま成長し花園ラグビー場の大舞台で「準優勝」を勝ち取るまで活躍した.このヒ―ローに対してマスコミから“ 過酷なスポーツを選んだ動機は? ”と尋ねられ“ 体が弱かったため病院の先生にすすめられたから ”とこたえた.彼の言葉に医師も満足した.
 
・童謡詩人・北原白秋作詩の抒情歌「からたちの花」(1924年)の一節“ からたちのそばで泣いたよ、みんなみんなやさしかったよ♪ ”の真実を知りたいと思う.子どもごころを詠いあげた白秋の童謡「こどものお医者」(1922年頃)には“ イジメられたり、ケガしたり、かわいそ(う)な誰でもたすけます ”とあり、小児科医に求められている「子どものこころのケア」がこの時代に珍しく表現されている.それは現在小児科医が求められている実践事項そのものである.
 
・「子どもの成長を支える」うえで、妨げとなる不快事の予防策は? 早期発見は? いつどこで誰が?などが議論され、外来小児科医として、もしも機会があれば尽したいという意見は多い、しかしそのチャンスは意外に身近な日常診療でみるすべての患者親子にある.改めて「こころの相談外来」としなくてもよいのではないだろうか.小児科医にしかない小児科医らしい感性、“ あなたのために一日中お付き合いしてもいいですよ ”という気持ち、それさえあれば毎日が「こころの相談」の研修であり、毎日成果が得られるであろう.
(当日は自慢話風になると思いますが、皆様の外来診療の小さなヒントになれば幸いです)。

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