小児気管支喘息ガイドラインの問題点
演題 … 【私の主張】
小児気管支喘息ガイドラインの問題点
所属・演者
にしむら小児科(柏原市) 西村龍夫
抄録
わが国の小児気管支喘息治療・管理ガイドラインでは,喘息発症年齢のピークは1~2歳にあるとし,低年齢でも喘鳴を3度以上繰り返せば乳児喘息と診断して治療介入することを勧めている.しかし,近年行われた前方視的スタディは,乳児期の喘鳴は将来の気管支喘息のリスクではないことが示されている.さらに,乳幼児の喘鳴はstridorかwheezeかの診断は容易ではなく,特に鼻副鼻腔炎の存在による鼻性喘鳴は,プライマリ・ケアでは普通に見られる.治療的介入が気管支喘息の発症を予防するというエビデンスもないために,反復する喘鳴を根拠に治療的介入を行う根拠は薄いものと思われる.乳幼児は成長過程で気道感染症状を繰り返すため,低年齢から気管支喘息と診断し治療を行うことは過剰診療になる危険性がある.プライマリ・ケアで現状のガイドラインを適用するのは問題があると思われる.
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