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小児のヘリコバクター・ピロリ感染症の診断と治療

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演題… 特別講演

小児のヘリコバクター・ピロリ感染症の診断と治療
~胃がん予防を見据えた中学生ピロリ菌検診の可能性を含めて~

所属・演者

兵庫医科大学地域総合医療学
兵庫医科大学ささやま医療センター小児科
                      奥田真珠美

抄録

 ヘリコバクター・ピロリ(以下H. pylori)は主として乳幼児期に感染したのち、持続感染し、慢性胃炎や胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因となる。胃がんとの関連は感染者では胃がんの発生が20倍以上というものや感染者と非感染者を追跡調査した研究では平均7年間で非感染者では胃がんの発生はなかったが、感染者では2.9%で胃がんが発生したという報告など多くの研究からH. pyloriは胃がんの主な原因となることが明らかとなっている。除菌治療による胃がん予防の研究では萎縮性胃炎や腸上皮化生など前がん病変が存在すると発がんを予防できなかったが、病変が進行していないものでは除菌後には胃がんが発生しなかった。これらのことから胃がん予防のためにはH. pyloriに感染しない事、感染者では病変が軽症である時期、すなわち若年者で除菌をする事である。一方、H. pyloriの主な感染経路は家族内(親子間)感染である事が示されている。若年者、特に親になる前に除菌治療する事は本人の胃がん予防と同時に子どもへの感染も防止するという二つの効果が期待できる。
 本講演では、小児のH. pylori感染症の診断と治療について、また篠山市で取り組みを始めた胃がん予防を見据えた『中学生ピロリ菌検診』について除菌治療も含めて実施の可能性について述べる。

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